2017/12/24

EMI The Dream Catcher(艾美夢遊)


 スペインのアニメ作家、Guille Rancel(ギジェ・ランセル)とManuel Gener(マヌエル・ヘネール)が、香港の歌手、方大同(Khalil Fong)が歌う「Catch A Dream」のミュージックビデオを、スペインの会社、Asociación SAVE経由で監督をしたという話。


▼方大同Khalil Fong-Catch A Dream 艾美夢遊主題曲 (Official MV )

 眠りについた女の子のもとに紫色の小動物が表れ、様々な世界を旅する、ファンタスティックなアニメーション。絵柄は今時のカートゥーンっぽいですが、ところどころに現れる中国風のデザインが目を惹きます。
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 もう一つ、歌の付いていない動画が。上のに先だって発表されたものですね。
▼方大同Khalil Fong-Catch A Dream 艾美夢遊預告片 (Official Teaser )


 最初に上げたYouTube動画の下の方に書かれた解説を、Google翻訳からあれこれ補正して解読を試みました。こんな感じでいかがでしょう。

方大同は母親のIQ、EQ、VQのコアカリキュラムの哲学を継続し、音楽を通して社会教育にポジティブな力を与えることを望んでいる。約4年間の計画と努力の後、ついに、子供向けグラフィック・ノベルのシリーズ「艾美夢遊(EMI The Dream Catcher)」が誕生した。その為に作った主題歌「キャッチ・ザ・ドリーム(捉个梦)」は、方大同のスタイルと豊かで多様な音楽を結びつけただけでなく、シンプルで鮮やかな上に豊かな意味を持つ歌詞は、エミの真善美の本質を表し、人間と人間の世界への申し立てを試みる。人間と動物の世界、そして、人間と大自然の植物/鉱物の世界は、互いに切り離せないほどの密接な関係にある。活発で自由なモータウン・スタイルの歌唱と工夫されたラップを聞く者は、思わずそれを口ずさむ。

 うーむ、お母さんの「IQ、EQ、VQのコアカリキュラムの哲学」ってどんな哲学なのでしょう。難しい事は置いといて、動画の最後にも出て来る「子供向けグラフィック・ノベルのシリーズ」というのが気になりました。この動画は、その主題歌のミュージックビデオなのですね。そして、動画解説の更に下の方、歌詞の下に載っている関連リンクの一番上、公式サイトにアクセスしてみました。


▼Gallery | Emi The Dream Catcher
EMI_the_dream_catcher_web


 

 「關於(about_us)」を解読した結果は以下の通り。

「EMI The Dream Catcher(艾美夢遊)」の創作にあたって最初に思い立ったのは、異なる年齢層や文化背景を持つ大勢の読者の為に、内容が豊富で面白く、教育的な内容にすることでした。その基本原則は、文学を簡略化するのではなく、子供達が十分に理解出来るスタイルにすることで、より高いレベルの理念やより深い考え方に触れさせ、子供達に学びを促し、周囲のことを理解し探求してもらうというものです。このシリーズで採用しているグラフィックと文章の形式は、両親が子供たちに読み聞かせるのに適しているだけでなく、子供達が自分で読むのにも適しています。読んでいる間、子供達は世界の様々な文化を体験し、視野が拡がることでしょう。


 「書架」欄によると、現在3巻まで刊行されているそうですが、繁体版と英語版は来年2018年1月初めから1月中旬に香港及び台湾の地域で発売され、その他の地域は後程発表するとの事です。簡体版は、中国本土の全ての地域から、京东(Jingdong.com)から購入することができるとの事。日本からは購入出来ない……?


 各巻の内容はどのようなものか、更に解読を試みました。固有名詞は暫定的に「艾美、Emi」→エミ、「紫兒」→紫っ子、「雪儿、Snowy」→スノウィー、としました。
1.艾美梦游:金砖的秘密(英題:EMI The Secret Of The Golden Bricks)
(金のレンガの秘密、参照元はこちらこちら

エミと彼女の新しい友達は夢に初めて侵入し、悩んでる王様を助け、金色のレンガの謎を解く。
エミという名の女の子が夢の中で体験した不思議な旅が語られる。夢の中で、彼女は古代都市に到着し、高貴な王様とその国の農民を助け、大いなる困難と試練を解決する。その過程で彼女は若者の助けを得て、真実の価値を学び、理解した。

2.艾美梦游:拯救雪儿(英題:EMi Saving Snowy)
(スノウィー救助、参照元はこちらこちら
エミーと紫っ子は冒険の途上にいるスノウィーを助ける
エミーは夢の中で、我が子を探している雪人の夫婦と出会った。そこで彼女は勇気を出して、迷子になった雪人の子供“スノウィー”を探しに行くのを申し出る。見知らぬ人に助けられ、エミーはスノウィーを父母の元へ返す

3.艾美梦游:生命之树(英題: The Tree Of Life)
(生命の樹、参照元はこちらこちら
エミと紫っ子は生命の樹をロボットの手から救う為に、時間と競争しなければならない。
エミは夢の中で荒れ果てた所にたどり着く。そこでは全ての樹木が切り落とされていて、たった一本残っていたのが生命の樹だった。エミ、紫っ子、起業家、そして動物のグループは時間と競争して、ロボットが最後の一本の生命の樹を切るのを阻止する。

 各巻の最後には語彙の学習とディスカッションを設け、子供達はイラストに基づいて語彙を学ぶことが出来ると共に、お父さんやお母さん、或いは他の子供達と一緒に討論出来るとの事です。対象年齢が5才から10才だそうですが、教育的要素がかなりありそうです。私などが読むと、中国語の勉強になるかしら


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 公式サイトの各巻紹介のページに載っている画像をクリックしていくとサンプル画像が大きく表示されます。彩色が綺麗で、架空の世界や動物がエキゾチックで面白そうです。しかしこの漫画、歌手である方大同(Khalil Fong)さんが自ら描いてらっしゃるのでしょうか?ウィキペディア等には漫画のキャリアは見当たらないのですが…。と、疑問に思ったところ、第1巻の通販ページ(こちら)の下の方、購買者からの投稿写真に奥付の写真があったので(こちら)、書き起こしを試みました。印刷が不鮮明で読めない文字は□にしています。

责任编辑:王倍倍
创作总监:方大同
故事原创:方大同、□□
人物设计:方大同、□□
美术及播总监:Guille Rancel
原文字编辑:Justin Carew
词汇问题讨论:□教育文化组
翻译:□教育文化组
网站:emithedreamcatcher.com


 どうやらこのグラフィック・ノベルは、方大同氏のコンセプト・総監督のもと、□□氏の協力を得て物語を作り、Guille Rancel氏(アニメ制作でも名前が出て来ましたね)が作画、Justin Carew氏が編集…、という役割分担で制作されたのでしょうか。或る意味、中国とスペイン合作と言って良い?


 近年、アニメ制作において、中国とスペインが接近しているような気がします。大きな例としては今年2017年の4月、日本語訳も出ている小説、キャロル・ウィルキンソン作『ドラゴン・キーパー』がスペイン・中国の合作でアニメ映画化の発表がにありました。当時、取り急ぎツィッターでつぶやいたものでした。ここからツリー状に連なっています。いずれ、もう少し詳しくまとめようと思います。



(最終更新日:2017年12月24日)